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言いながら胸が痛む。こんな私に話しかけるなんて、本当に気まぐれもいいところ。
でも、至は何も言わない。私に対して偏見がないみたい。
「案内、続ける」
私が先に歩き出すと、彼は私の様子を気にする素振りはあるけれど何も言わない。
デリカシーがないなんて嘘。至は優しくていい人。多分、誰にでも笑顔で近づくんだろうな。
「こっち。公園拠点にしたらわかりやすいよ」
それから私たちは公園を出て、街中の方に移動。
役所だったり、図書館だったり、これから散々お世話になるだろう場所をだいたい回ってから、若者が好きそうなカラオケやゲーセンがある小さな通りを抜ける。
休みがてら、そこにあったバーガーショップに入る。時間はまだ午前十時。
「随分と歩いたね」
「今度はバスで移動した方がいいかも」
バーガーショップでポテトをつまみながら、まだ静かな通りを眺めていた。初対面の人とこんなに長い時間一緒にいたなんて初めてかも。
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