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「ありすみたいな奴だったら、すぐ友達出来るって」
「何よ、それ」
「あ。俺だって友達だからな。だから!」
「連絡先は教えない」
「ケチ」
ずいぶん長居してしまった。さすがに昼を過ぎてしまうと両親に心配されてしまう。
早朝に散歩に出て、それっきりだったもんね。さすがに連絡すればよかったかな。
私はスマホを取り出す。
「え! 教えてくれるの?」
「違う!」
至は途端に悲しそうな顔をする。ちょっと、意地悪すぎただろうか。良心が痛み出した。
「早朝に誰もいない海で、こうやって出会えて楽しかったよ」
「俺も最高に楽しい時間だった」
私が言えば、至はすぐに笑顔で答えてくれる。
「至。運命とか、奇跡とかは信じないけど、もしも……また出会えたら。その時は、連絡先教える」
しばらく海には行かない。テストも始まるし、部活もある。だから、彼にまた会えるのはいつになるかわからない。
それでも、いつか会った日に至がまだ私に興味あるようだったら。信じて、友達になってもいいかななんて思う。
「絶対に会う! 捜してでも会う!!」
「気合い入れすぎ」
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