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「あの時、せっかく話しかけてくれたのに。ごめん! 私、昔から上手く話せなくて……本当は話してくれて嬉しかった!」
ちゃんと言えた。伝えられた。
至、私ちゃんと言えたよ。あなたに出会えたおかげで勇気出せた!
頭を下げたままでいたら、不意に肩を叩かれた。
「何だよ。普通に話せるんじゃん」
彼女は私の手を取って、引っ張るように教室に入った。
「みんな、久しぶり!」
「おはよう! って、どうした? 何?」
クラスメイトたちが私を見てぎょっとする。
そりゃそうだ。一学期はまるでクラスの輪に入らなかった私が、人気者と登校してきたんだから。
「ウチらマブダチ」
「マブダチって、ちょっと死語っぽくない?」
「うるさい。初日からあんたは空気乱すなよ。いじめるよ?」
「堂々といじめ宣言しないでよ」
そんなやり取りが可笑しくなって、私は笑いを堪えられない。
「あ。ありすが笑った」
「よかった。話しかけた時、無表情だからロボットかと思った。それに……」
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