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もしかしたら、また連絡があるかもしれないという淡い期待を抱いていたが、年が明けても美優からの連絡はなかった。
京介からもなにも言ってくることがなく、俺も京介が来る飲み会は避けていた。
京介に詰めよれたらかっこよかったんだろうけど、京介の口から美優の名前を聞く勇気がなかった。
奇しくも入籍予定だった2月14日に、会社の同僚に告白された。
自暴自棄になっていた…のかもしれない。
俺は告白を受け入れて、翠という彼女ができた。
翠との交際も順調で、それから何事もなく数ヶ月が過ぎた。
翠も結婚適齢期と言うやつで、それとなく結婚の話も出るようになった。
今なら京介に話を聞けるかもしれない。
いや、ちゃんと話を聞いて前に進まないといけないんだ。
季節は夏になっていた。
京介とよく行ったBARに、京介を呼び出す。
「久しぶり。」
「お、おう。突然悪かったな。」
「美優のことか?」
「ああ。順調か?
俺も結婚が決まりそうだから、そっちも順調だといいと思って。」
「聞いてないのか?」
「え?何を?」
「…亡くなったんだ。」
「嘘…だ…ろ…。」
「悲しいが事実だ。」
「なんでだよ?事故?病気?」
「本当に何も聞いてなかったんだな。」
「どういう事だよ。」
「本当は渡すか迷ったけど、やっぱりお前には知ってて欲しいって思うから。」
カサッ
京介は、表には何も書かれていない白い封筒を差し出した。
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