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「最近ぼくは、公園で遊ぶことが出来なくて困っています。学校の放課後に友達と遊びに行っても、汚くて使えません。タバコのポイ捨てや空き缶、公園はたくさんのゴミで汚されているのです。初めは、お母さんや学校の先生と一緒に掃除をしました。でも一向にゴミは減りません。どうしてだろう? と思っていたある時、ぼくは見てしまいました」
手紙に書かれているのは文字だけではなく、そこには、怖い人相をする大人の人たちの絵が描かれていました。
「見てしまったんです。夜な夜な公園で騒いでいる大人たちが、公園を散らかしているのを。せっかくぼくが掃除をしたのに……。友達にもお母さんにも先生にも手伝ってもらったのに……。公園は大人の人たちで汚されていました」
少年の書いた文字は、段々と弱々しくなっていました。
「どうしてですか? どうして遊び場の公園を汚すんですか? ぼくたちが何か悪いことをしてしまったのでしょうか? 教えてください……。助けてください……。あの大人の人たちは、どうしてそんなヒドいことをするのでしょうか?」
手紙はそこで終わりました。きっと少年は、涙を流しながらこの手紙を書いたのでしょう。手紙の端に濡れた痕が見られました。
「かわいそう……」
「うん?」
「かわいそうだよ、おばあちゃん。わたしも公園で遊ぶの好きだよ。だから公園が汚れてたら嫌だよ」
「そうねぇ。みんなで遊ぶところを汚すのはダメなことよね」
孫娘は「うん」と小さく頷くと、お婆さんの話に耳を傾ける。孫娘は、お婆さんの話す物語にどんどんと引き込まれている様子であった。
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