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――少年が手紙を「シュノドス」に届けた次の日、ポストの中にあった手紙はやはり消えていました。誰が持って行ったのか、誰がその手紙を読むのか、まったくわかりません。
ですがきっと、少年の思いは届いたはずです。みんなが求めるヒーローへと、手紙は届けられたのです。
手紙を届けてから3日目の朝、少年は驚きました。
あんなにも汚れていた公園が、見違えるほど綺麗になっていたからです。空き缶一つ、ゴミ一つ、すっかり綺麗になっていました。そればかりでなく、遊具のすべてが新品同様に磨かれているではありませんか。
少年は喜びました。「きっと、ぼくの思いが通じたんだ!」と母親に抱きつき、夢中で遊びました。その嬉々たる姿は素敵なものでした。
夜な夜な公園を汚していた大人たちも、その日以降姿を現すことはありませんでした。もちろん、公園が汚されることもなくなりました。多くの子供たちが、楽しく、明るく遊ぶことのできる場所が救われたのです。
少年の思いを乗せた手紙はすべてを変えたのです。
誰がそんなことをしてくれたのか? 少年は喜びのあまり、そんなことを疑問に思うことはありませんでした。
でもそれでいいのです。
誰が公園を綺麗にしてくれたのか、誰が少年の思いを叶えてくれたのかは問題ではありません。みんなと楽しく遊ぶ、眩しいほどに輝く少年の瞳が、何よりも大切なことなのです。
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