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「……え? おわりなの?」
眠る気配もなく、一心に物語を聞いていた孫娘がベッドから体を起こす。
そんな孫娘に、お婆さんは意味ありげな言葉をかけた。
「今日はね」
物語の続きがあるにも拘らず、口を閉じるお婆さん。ここからが面白い話であることを、敏感にも孫娘はすぐに感じ取った。
「え~! おばあちゃん! お願いっ!」
「だめじゃよ。もう遅い。今日はもう寝なさい。いい子にしていれば、続きは明日話してあげるからね」
起き上がる孫娘を落ち着かせ、寝室から出ていこうとするお婆さん。「う~ん」と不満げにほっぺたを膨らませる孫娘の可愛さに気が変わることもなく、「おやすみ」と声をかけながら、お婆さんは電気を消した。
「どこからだったかしら?」
「ねぇ~、早く早く~」
幼稚園から帰ってきた孫娘は、夕食のハンバーグを一気に平らげるなり急かす思いでベッドに飛び込んだ。
まだ8時だというのに、孫娘は昨夜の物語の続きを聞きたいらしい。仕方なくもお婆さんは食事の後片付けをお爺さんに任せ、孫娘の気持ちに応えようとベッドに腰を落とした。
――物語には続きがあります。少しだけ、時間を戻しましょう。
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