ズレパニ

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ズレパニ

「おばあちゃん、お話して!」 「えぇ? 今日もするのかい?」 「おねがい。眠れないんだもん」 「う~ん。じゃあ、特別じゃよ。そしたらいい子に寝るんじゃよ。わかったかい?」 「うん。わかった」  お婆さんは優しく頭を撫でた。4歳になったばかりの可愛い孫娘を寝かしつける為、お婆さんはある言い伝えを思い出す。  遠い昔から語り継がれている「ズレパニ」の話だ。  ――昔々、あるところに、人々を苦しめる男がいました。  それも、とてつもない極悪非道で、弱者に暴力を振るう男でした。さらには、空き缶やタバコなどのゴミを平気で道端に捨てたり、おじいさんおばあさんからお金を騙し取ったりしていました。  そんな男の横暴な行いに、町のみんなは迷惑がっていました。  しかしながら、直接その男に文句を言うことは誰にもできませんでした。なぜならその男は、この町の権力者でもあったからです。     
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