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「ちがう、ちがう、ゆうれいじゃないけど、うーん、何て言うのかな人間ではありません」
え?私、しゃべってないし。今の声は、誰なんだろう。
暗闇から聞こえてくる不思議な声。この声はどこから聞こえるのだろうか。
上をみても下をみても、360°どこをみても声の正体はみつからない。
「どこにいるの?」
「ここだよ、ここ」
もう一度窓の外の知らない風景をみた。無数の星はいつのまにか消えてなくなり、そこはぼんやりと月明かりだけの風景が広がっていた。
よく見ると誰かが手を振っている姿が確認できる。
「あっ、こんなところにいたんだ!みつけたよ!」私も、相手に向かって手を振った。
「みつけてくれて、ありがとう。そして私をそこから出して欲しい」
「え?どうやって?」私は、声の主の場所をみつけることはできたけど、そこから出すって? ちょっと意味が分からなかった。だって、相手は窓の外。暗闇だし、距離感がつかめない。でも何故か声だけは不気味なぐらい鮮明に聞こえる。
「声は、風が届けてくれるんだ。だけど私は閉じ込められている」
どうやら相手は私の心の中も読めるらしい。閉じ込められているとはどういうことなのか。私の頭の中に疑問符がまた増える。
「とりあえず窓の外に出てほしい」
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