あの子に話しかけたい! Monday

1/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ

あの子に話しかけたい! Monday

新学期からはややずれた九月の中頃。日に日に虫の歌声が豊かになっていく今日。先生に呼ばれて入ってきた「その子」を一目見て、私、音梨八子は、なんだか「青い子」だなと感じたの。 服や容姿の影響も、多少はあったかも。だって「その子」はいつも青系のワンピースを着ているし、髪止めとか、小物の類いも青色で纏めて、腰まである長い髪はまさしく緑の黒髪なのに、目は明るく藍色だったんだよ。でも、やっぱり決め手は名前。彼女「青井蒼」って書いて「あおいあお」って読むんだよ。全身で「アオ」って言ってる感じしない? シノちゃん? 私の正面に座る小柄な女性に話しかける。するとその人は、紫色に染めた長い髪を弄くるの手を止めて、太い黒淵の眼鏡の奥でギロリと睨んだ。 「ごめん、ハコ。聞いてなかったわ」 最初から聞く気なんてないのは態度を見れば誰だって分かる。ほんと、子供相手に大人げない。     
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!