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意を決し、ひきつった顔のまま、決勝の舞台に立つ。
なかば強制、みたいな感じだったけど、実はボク自身、高揚でテンションがどうにかなっちゃってる部分もあった。
今までの人生を振り返ってみてもロクなことが無かったボクが、このどこかは分からない世界なんだけど、大勢のヒトたちの声援を受け、熱狂を与えることが出来ている……世界の中心に自分がいる感覚、いや、意味不明かもだけど、もっと言うと、自分の中心に自分がいる感覚。人生に、生きることにピントががっつり合った、そんな感じ。
どうせ失うものもたかが知れてるし。だったらここ一番で燃焼してやるっ、と、はからずもその一発屋的メンタリティは、この世界で言うところの「勇気」なるものに、なぜか似ていたり、直結していたりもするわけで。
やまない歓声が降り落ちてくる「コロッセオ」のいちばん低いところに位置する、戦闘のフィールドで、ボクは妙に落ち着いた気持ちで最終戦の始まりを待つ。あれ何か余裕が出て来たかも。
周りに目をやって、他の面子をちらと見てみる。三人が三人とも、いろとりどりの髪をおっ立てたり、揺らせたりしている、細面のイケメンたちだった。装飾を盛れるだけ盛った鎧に身を固めていたり、ばかでかい宝石が嵌まった剣を携えたりして、うおおおお、と熱血な感じで気合いをいれていたり、余裕でフッとか鼻で笑っていたりするけど。
……「勇者」像がかなり古いというか、それでも残るのはこういった人たちなのか。
自分がその「時流」に乗れてない感にいささかの不安を感じつつも、ボクは自分の相棒、薄汚れた鎖鎌を、身に着けたザ・平民服といった感じの上着の裾で少し擦ってみたりしている。
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