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「んん? お主は良く分からないが、ぶっ飛んだ思考を持っておいでだねえ。よいよい、初めて食すモノというのはいつだって心躍らされる……」
目の前には金髪の美女が、ボクにそんな熱い視線を送っているよ……いける。何だか今日はいけそうな気がする……ッ!!
【……アナタガ好キデソォォォォォォォォッ!!】
瞬間、自分の身体をも震わせる大音声が、ボクの喉奥から放たれた。
「……ええっ?」
途端に金髪美女の表情が、可憐な少女のものに変わる。突然のことに戸惑い、顔を羞恥に赤らめながら。
効いてる……本当にいけそうな…… さらにボクは息を呑み込んで続ける。
【アナタノコトカァァァァア、ダイッ、好キデソォォォォォォォォッ!!】
「ちょっ……!! 何言ってんのよバカじゃないっ!?」
引いたぞッ、推定確率0.02%の絶滅危惧級希少種をぉぉぉぉぉっ!! だったらボクはっ!! 日頃の疑似プログラム相手のシミュレーションの成果を見せるだけだッ!!
【イツマテモォォォォォォッ!! 変ワラナイテェェェェェェェェェェッ!!】
「あ、アンタなんか……っ、アンタなんかぁ……」
怒りのような照れのような最高の表情を見せながら、「少女」はいつの間にか出していた両拳を握りしめて、わなわなと体を震わせているけど。
【死ヌホトォォォォォォォッ!! ……好キダッ、カラァァァァァァァァッ!!】
「!!」
ボクの最後のひと押しで、泣きそうな真っ赤な顔になると、堕ちた。そして次の瞬間、化物然としたボディからするりと抜け出た全裸の美女は、素早く駆け寄ってくると、ボクの身体をきつく抱きしめるのであった……
勝った。全てに勝ったよ、父さん。
コロッセオの観客席および実況からは、ええ……という腐った溜息のような声が降り落ちて来るけど。文句あるなら、このアロナコちゃんに食わせますよ?
こうして。
「勇気」とは何だったのかという、壮大な未回収感を残し、「祭り」は終わるのだった。
一旦は「勇者」に成りあがりかけたボクは、魔神と共に世界を統べる存在へと駆け上がっていくのだけれど、それはまた別の話だ。
ボクたちの冒険は、これからだぜっ!!
(終)
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