7人が本棚に入れています
本棚に追加
「コロッセオ」と、もう便宜上そう呼ぶけど、円形の石造りの闘技場の盛り上がり方はものすごい。人が、あ、まあヒトならざる者っぽいのも結構いるな……が、ぐるりを巡るスタンドを埋め尽くしている。そして怒号のような狂乱の叫び。
トラックの無い、サッカー専用の競技場、スタジアムくらいの作りと広さかな。そのグラウンドに位置する所には黄土色っぽい土が一面に撞き固められている。さっきから何度もそこに降りて戦っているけれど、結構砂ぼこりは舞うので目や喉にくることこの上ない。
「リントちゃんよぉ~、お前さんの『ニューウェーブ』な『勇気力』。俺っちはほとほと感心してるんだぜぇあ~。正に異次元。俺ら凡夫たぁ、住む世界が違うっつーか」
この丸い男は、ほんとに口調が定まらないな! 揉み手気味でボクを調子よくおだててくるけど、まあ、元から住む世界は違うからねぇ。
「トモヒト」と名乗ったものの、「……トゥトトゥ、とぅぅぅむ? ふふふぃぃぃと?」みたいに発音しづらかったのか、ボクの持ち物を勝手に探って「結城 倫人」の名前を見つけると、
「おおー、『リント』!! こっちの方が呼びやすいなぁ、よぉぉぉし……今日からお前は『リント』だよ……ッ!!」
よく分からない口調でそう告げて来た。誰だよ。そしてなぜ漢字が読める。
最初のコメントを投稿しよう!