その日が来るまで

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 聞き覚えのあるメロディが流れる。よく耳にするはずなのに、曲名が思い出せないやつ。こんな時のために、りさポンに流行りの曲を教えてもらえばよかったな、と少し後悔する。  黄昏時の喫茶店は人もまばらで、でも入って来る人も出て行く人も、決まってみんな大人だった。あたしみたいな小学生は一人もいない。  お気に入りだったピンクのランドセルがなんだか急に恥ずかしくなって、周りから見えないようにテーブルの下に隠した。  こんな時、知ってる曲だったら頭の中で歌えるのに、あんまり知らないからノルにノレずにあたしだけ手持ち無沙汰でぼうっとしていた。もう十分、いや二十分はこうしている。  もういっそのこと寝て待っていようか。そう思い、テーブルに突っ伏したその時、 「ちえみ! すまんすまん」 カランという涼し気な音と共に、パパの焦った声がした。
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