その日が来るまで

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「帰りの電車は何時だ? ほら、いつもと違う場所だから、電車の時間だって違うだろ? 調べたのか?」  外を眺めるあたしに、パパが訊いた。 「あー……うん。大丈夫」  あたしはそのまま、ガラス向こうに見える親子連れを目で追いながら答えた。帽子を被った女の子。パパとママと、三人で手を繋いでいる。駅から電車に乗って、どこかへお出かけするのだろうか。  電車の時間はちゃんと調べてきた。でもパパには言いたくなかった。  中途半端な答えに、パパもあたしも会話が続かず口を噤む。  その時、タイミングよくクリームソーダが運ばれてきた。ここのはいつものファミレスよりアイスが大きくて、嬉しくなる。言葉を発する代わりに、スプーンでアイスを掬って大きく開けた口に放り込んだ。ひんやり、美味しい。 「美味しいか」  パパが嬉しそうに目を細めた。あたしは「美味しい」と言う代わりに笑ってみせた。  よかった。これで、なんとなく気まずかった空気がなくなった。
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