その日が来るまで

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「そういえば、学校は楽しいか? えりちゃん……だっけか。ほら、前遊びに来てただろう? あの子とは最近どうなんだ?」  さっき飲み始めたばかりのアイスコーヒーは、もう半分ほどになっていた。相変わらず、飲むのが早いんだから。 「えり? ぜーんぜん、だよ。六年になってクラス離れちゃったし、最近は会ってないなぁ。ていうか、パパは情報が古いの! 今一番仲良いのはりさポンね! 覚えておいて」 「りさぽん……はどんな子なんだ?」 「オシャレな子だよ。読モやってるの」 「ドクモ? って、読者モデルのことか?」 「なんだパパ、よく知ってるじゃん」 「ちえみ……いくらパパでもそのくらいはわかるぞ」 「あはは、ごめーん」  うん、調子が出てきた。パパとの会話はいつもこんな感じだった。エンジンがかかるのが、もう少し早ければいいのに。  あたしはちびちびと、クリームソーダを舐めるようにして飲んだ。早く無くならないようにゆっくりと。 「おっ……と、すまん、ちえみ」  話の途中でいきなりの謝罪。でもあたしはそれがなんなのかわかっていた。 「いーよ。電話でしょ? 話してきなよ」  パパは申し訳なさそうに眉を寄せると、胸ポケットに入っていたスマホを取り出しながら立ち上がった。
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