夏の夜にはバニラアイス

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「よし!委員長!私、協力する」 ミユキはすくっとベンチから立ち上がると右手をまっすぐにあげて高らかに宣言した。 「私、高梨ミユキは田邊ヨシオと委員長が付きあえるように全力サポートします!」 ぽかんとした顔でミユキの宣言を聞いていたチサトはやがて理解し、慌てた声をあげた。 「いい!そんなことしなくていい!」 「まかせてよ!私の社交性は使えるわよ!田邊とだって話したことあるし」 こんな面白カップル成立させなきゃもったいないではないか。 そう思いながら笑っていると、すばやくチサトが指摘した。 「ほら!今、絶対面白がってた!だから性格悪いあなたには知られたくなったのよ!」 そうは言っても面白いのだからしょうがないではないか。 ああ、明日からの学校が楽しみでしょうがない。 「あーでももうすぐ夏休みか」 夏休みになったら委員長にも田邊にも会えなくなってしまう。 ミユキはポケットから携帯を取り出した。 「とりあえず、委員長、番号教えて」 「ちょっとあなた、本気?」 「当たり前じゃん」 茫然とする委員長にミユキはにっこりと笑った。 「この夏が勝負だよ。とりあえず夏休み中に田邊とデートしよう」 そうなるように、残り少ない夏休みまでの日数でミユキが田邊と委員長を引き合わせるのだ。 ああ、こんな面白いものに出会えるなんて。 今夜、バニラアイスを買いに出てきて本当によかった。 目の前には「やめて!余計なことしないで!」と真っ青な顔をしている委員長がいる。 あの鉄仮面の委員長が、こんな顔をするなんて。 バニラアイスのように甘い、委員長の恋心。 溶けて消えてなくなってしまわないように。 この恋を、私、高梨ミユキが叶えてみせましょう。
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