夏の夜にはバニラアイス

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悩んでいると、彼女が動いた。 夜空を見上げていた彼女がすっと空に向かって手を伸ばした。 何をしているのか。ミユキはじっと彼女の様子を観察した。 しかし空に手を伸ばしたまま、それからの動きはない。 星の観察でもしているのだろうか。 ダメだ。やっぱり気になる。気になるものは、本人に聞くに限る。 ミユキは意を決し、自転車を押して公園に入った。 「委員長~!」 明るく声をかけながら近づくと、北原チサトはびくりと肩を揺らし、ゆっくりとこちらを振り返った。 「……高梨さん?」 振り返った彼女はいつもと変わらず鉄仮面で無表情だが、珍しく動揺しているらしい。 声の感じから彼女が戸惑っているのが分かった。 ミユキが近づいていくと、チサトは素早く空に向かってあげていたほうの手をスカートのポケットに入れた。 何かをポケットに入れた? そう思いながら、でもミユキはそのことには触れずに明るく尋ねた。 「委員長、どうしたの?こんな夜遅くに、公園で」 「あなたこそ、何してるの?」 「私~?私はアイス、食べたくなっちゃって」
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