夏の夜にはバニラアイス

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ミユキが公園に戻ると、北原チサトはまだ一人で公園にいた。 「委員長~!」 再び、自転車を押して公園に入ると、チサトはこちらを振り返り、怪訝そうな声をあげた。 「え?高梨さん?」 戸惑う彼女を横目に、ミユキは自転車を止めて、籠に入れていたコンビニの袋から、アイスクリームを取り出した。 「はい」 ふたつ買ってきた内のひとつを彼女に差し出す。 「え?何?」 「アイス。委員長と一緒に食べようと思って」 戸惑って固まっている彼女にミユキはせかした。 「ほら、早く。アイス溶けちゃう」 言われてようやくチサトはアイスを受け取った。 ミユキのお気に入りの、カップのバニラアイス。 公園のベンチにチサトとふたり並んで座った。 「あーやっぱ美味しい」 夏の夜のアイスはやっぱり美味しい。一口食べて、ミユキは喜びの声をあげ、チサトを振り返った。 喜んで声をあげるミユキとは反対に、チサトは黙ってアイスを口に運んでいる。 こういうとき、ほんとに美味しいね、とか共感の言葉を述べるものではないだろうか。 黙々とアイスを食べるチサトを見て、ミユキはやっぱり彼女は変わっていると思った。 「それでさ」 アイスを食べながら公園の遊具に視線をやりつつ、ミユキは尋ねた。 「委員長は、誰が好きなの?」
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