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ミユキの隣で彼女が驚いて息を止めるのが分かった。
二人の間に沈黙が流れる。
ミユキはアイスを口にする。
ほどよくトロリと溶けて美味しい。
「満月の夜に、ピンキーリングをもって指輪の間から月が見えるように空にかざすんだよね。そうしたら、恋が叶うっていうおまじない」
ミユキは夜空を見上げた。丸い綺麗な満月がぽっかりと夜空に浮かんでいる。
そう。つい先日、休み時間にこのおまじないについて教室で話していたのだ。
ミユキとよくしゃべる女子のグループの一人が、ネットでこのおまじないを見つけて、ピンキーリングを買ったと言ってその指輪を見せてくれたのだ。
ちょうどその話をしていたとき、北原チサトは同じ教室にいた。
「委員長、このおまじないの話、聞いてたんだね」
このおまじないの話を聞いて、今日、この満月の夜に公園に来たのだ。
北原チサトは何も言わない。
ミユキはちらっと横にいる彼女に目を向けた。そして驚いた。
いつも鉄仮面、無表情の彼女が口を一文字に結び、顔を真っ赤にしている。
「え、ええっ?」
怒っているのか、それとも恥ずかしさで顔を赤らめているのか。
目線を目の前の公園に向けたまま、何も言わず顔を赤くしているので、どちらなのか感情が読めない。
すると、突然彼女が動いた。
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