同僚と仕事の両立の仕方

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むくりと起きると寝ぼけ眼を手で擦りながら、僕は御簾を上げて仕事場へと向かう。 ひんやりとした真夜中に彷徨う。 怪しい奴にみえるだろうと僕はくすりと笑った。 仕事場の御簾に手をかけて中に入る。 文机を前にしておいてあった硯に墨を入れ、馴染ませ筆を浸す。 札にすらすらと書いているとドタドタと廊下を歩く音がした。 同僚がやってきたのだ。 「お前、早いな」 「今、来たところだよ」 「今日の星はどうだ?」 「お前も読めるだろう?」 「まぁ、この職だからな。読めないと働けないって」 「それでどうなんだ?」 「明日も主上は厄介だってことだ」 「それは見なくてもわかるだろう。はぁ、早く仕事しろよ。我らが上司が文句たらたらいいながら、祀りのことを聞いてくるぞ。上がよからぬことをかんがえているからだろう」 同僚が溜息をつく。 御簾の傍から動こうとしない同僚に呆れて目の前の札に印す。 「真夜中、札を書いて楽しいか?」 「楽しいね。表に出ずにするからな」 「お前、祀り事だと逃げるからなぁ。上手いのに」 手を動かしながら、答える。 そろそろ集中せねばと思い、書き続ける。 沈黙が降り落ちる。 同僚は知っているので黙ってこちらを見ているだろう。 夜で涼しいはずが、集中しているせいか。 汗が噴き出るのを肌で感じた。 ふうっと書き終えると外は少し明るくなっていた。 「終わったか?」 「ああ、終わった。お前は?」 「終わったよ。これからどうする?寝なおすか?」 「…仕事だろう。お前は寝るといい」 「真夜中一緒にいた仲だろう?付き合ってくれると嬉しいな」 何食わぬ顔で同僚がにやりと笑う。 はぁと溜息をつき、同僚に投げつけた。 「お前は馬鹿か」 険しい顔になったであろうことはわかったが、同僚の戯言に付き合うつもりはない。 スッと文机から離れ、御簾を上げ外に出た。 空には星々が光輝いていた。 それに比例するように心は溜息の雨が降った。
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