目覚めを待つ僕は

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 父の目を盗み、僕は君の部屋を訪れました。  たくさんのコードに繋がれた君が椅子に座っています。  頭が無事だった場合、ボディを作り直せばロボットは直ります。しかしそれは従来のプログラミングで動くものについてです。負荷のかかった人工知能が完全に元に戻るかどうかは分かりません。しかし、それでも、僕に会いたいと思ってくれた君に会うことができるのなら。僕のことを覚えていなくても構いません。また知ればいいのですから。  父に手伝ってもらいながら、僕は君を作り直しました。開いているところを見たことのない君の閉じられた目が、全く動くこともなく瞼越しに壁を見つめています。  今夜も僕は君に話しかけます。  昼間父と話したことや、最近街で流行っていること。君が頷くことはありませんが、こうして君に語り掛けることが僕の楽しみでした。  いつか、いつの日か。君の瞳に僕の姿が映ったら。君の口が僕の名前を呼んだら。君の手が僕の手を握ったら。そんな日が来たらどれだけ嬉しいでしょうか。上手く表情を作ることができていなかったという君ですが、今度はちゃんと笑ってくださいね。  本当はまだ君に会ってはいけないのです。部品の調整中および記憶媒体の修復中なので不用意に触れたり刺激したりすると誤作動を起こしかねないのです。しかし僕は君のことがとても気になってしまって、こうして真夜中に君の部屋を訪れています。  父にも秘密の、僕と君だけの時間。  僕の胸からは微かに機械の音が聞こえています。あの後、しかるべき治療をしてモーターを体に埋め込みました。君に助けられました。今度は僕が。           ●  毎晩毎晩、僕は君に逢いに行く。
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