目覚めない君へ

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 パパは立派な研究者だ。人工知能を搭載し、人と自然なやり取りを行うロボットを作ったことで業界では名の知れた人物だ。大昔に錬金術師と呼ばれた人達が目指した人造人間を最新科学の力で作り出したのだから。  人工知能を搭載したロボットを果たして人間と呼んでいいのだろうか。生物と機械の違いは一体何なのだろう。そのような議論が何度も何度も繰り返されたそうだ。しかし、今の時代生物と機械は曖昧になっている。生活の補助のため機械を体に埋め込んだ人、家族のように暮らすもふもふのペットロボット、外見だけでは区別のつかない精巧なアンドロイド、宇宙の彼方へ調査に出発した人々の大半はサイボーグだ。世の中には機械が溢れている。プログラミング通りではない、自分の意思で動く人工知能搭載最新型ロボット。それはもはや生きていると言っても過言ではない。  君と一緒にパパの研究を見たい。だから、早く目を覚ましてね。  君に繋がる管はカプセルの横にある装置から伸びている。規則的な電子音が小さく鳴っていた。  暗い夜、静まり返った部屋。僕の声と電子音だけが聞こえる。  ねえ、パパはすごいんだよ。たった一人の息子のために、その友達を作ったんだから。だから早く君とお話がしたいな。
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