37人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
「なるほどね~。それで、自分のピンチをオレに相談してみる気になったんだ~。あはは。ちょっとうれしいかも。こういうふうに、葉児からたよられるのって」
「そりゃ……おまえが一番、オレらのことを知ってるからな……」
「……だね」
サッカーボールを足で器用にバウンドさせながら、誠は空を見あげた。
青空にうろこ雲が広がっている。
「和泉もさ~。不安なんじゃないの~? 葉児とはなれて、別の学校に通って。週末のたびに、遠く行って仕事して。どんどん葉児と会えなくなっていって。しかも、葉児がモテること、わかってるからさ」
「……うん」
「ね~。これはオレの、月並みの意見なんだけど。プレゼント作戦っていうのはどう?」
「は? プレゼント?」
「う~んと。なんてゆ~か。『ずっといっしょだよ』っていう、しるしみたいなさ」
「いやそれ、重くないか……?」
「重いよ? でもさ、葉児は、和泉とこの先、ずっといっしょにいる覚悟はないわけ? あるんだったら、その想いを形にしてみるのは、葉児の自由だよね。受け取る、受け取らないを決めるのは、和泉なんだからさ」
最初のコメントを投稿しよう!