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颯天はどの部類に入るだろう。 大学には真面目に通っているし、週に三日はカフェ店でバイトをし、遊びに誘われればばかみたいに興じる。 普通の大学生だ。 ――と云いたいところだが、ひとつだけ一般の清道生と違うことがある。 「颯天、おまえ、あの人の噂を聞いたか?」 最後の授業を終えたあと待ち合わせ場所に行くと、同じ一年の河崎時生(かわさきときお)が内緒話をするように声を潜めて訊ねた。 暗黙の了解で、合流するなりふたりの足先は自動的にサークル会館へと向く。 「なんだよ、噂って。あの人ってだれのことだ?」 「おまえ、声がでかいって」 時生はやはり声を潜めて(とが)め、颯天は辺りを見回した。
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