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「ということなんで、とりあえず留守番しといてくれるかな」
「いいの?昨日会ったばかりの他人を置いていって」
確かにそれもそうだ。
「じゃあ、私も一緒に行っていい?」
不敵な笑みを浮かべる祐美を見て、嫌な予感がしたのだが、仕方がない。連れていくか。
「早く行かないと間に合わないよ。おっちゃん」
「そのおっちゃんっていうのは、何とかならないか」
「じゃあ、なんて呼べばいいの?お名前知らないし」
「あっそうか!俺は里中裕二」
「じゃあ、裕ちゃんでいいよね」
「裕ちゃんってお前なあ」
この女はぶっ飛んでやがる。こんな年上に向かって裕ちゃんだと。さっきまでの涙は何だったんだ。
「裕ちゃん。早く早く」
「だから、その呼び方やめろって」
「照れてんの?」
「ばかやろう」
こんな調子で、急かされながら家を出た。
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