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面接の場所は、オープンする店の中の事務所を指定されていた。家からは歩いて30分、大通りに面していて、人通りも多そうだ。
決して大きな店ではないが、家庭的な雰囲気のする外観だ。内装はこれからといった感じで、工事関係者が何人も出入りしている。
オーナーから少し遅れる連絡が入り、先に事務所で待つことになった。
「何でここに座っているんだ」
「だって工事の人が入っていいって」
「お前の魂胆はわかってんだぞ。自分も雇ってもらおうとか考えてんだろう」
「違うよ。ただの付き添いだよ」
「面接の付き添いなんて聞いたことねえぞ。さっさと出て行け」
そうこうしているとオーナーらしき人物が入ってきた。
「どうもお待たせしてすみません。オーナーの原田です」
「初めまして、里中です」
「初めましてじゃないですよ。先輩、僕ですよ」
何を言ってるのか最初わからなかったが、すぐに思い出した。原田とは、以前働いていた店で一緒だった。5歳くらい年下のイケメンで、チャラそうに思っていたが、最後の方は店長を任されていたような。
「懐かしいなあ。10年振りか?」
「お久しぶりです。お名前を聞いた時そうだと思ってたんです」
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