第1章「偶然の出会い」

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「あのー、お知り合いだったんですか」 不思議そうな顔で祐美が聞いてくる。 「先輩、こちらの方は?」 「いろいろあって、付き添いじゃなくて、あのあれだ」 「まさか愛人の方ですか」 「どこの世界に面接に愛人を連れてくる奴がいるんだよ」 その後も、祐美がいたせいか、場はすごく和み、ここまでの経緯を簡単に説明した。 「わかりました。では、お二人とも採用ということで」 「えーっ、本当か!」「えーっ、マジで!」 「ええ、里中さんの人柄はともかく、腕前は知ってますし、祐美さんの明るさは、この店にぴったりだと思いました」 その後、原田の話によると、開店直前になって、料理長を頼んでいた奴にドタキャンされたらしく、人づてに俺のことを聞いたらしい。 そんなことだから、他の従業員のことまで手がまわっていなかったようだ。 「では早速なんですが、明日から研修をやりますので9時に来て頂けますか」 「わかりました」「喜んで」 「お前店間違えてるぞ」
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