第1章「偶然の出会い」

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「じゃあ、お風呂入ってくるね」 もう文句を言う気にもなれない。 「ああ、俺は一杯飲んでからにするよ」 「覗かないでよ」 「誰が覗くか。馬鹿」 しかし、「お父さん」とストレートに言われて、こんなにもダメージを受けるとは、正直驚いた。 酔いが少しまわってきた頃、祐美が風呂からあがってきた。そこで、先程のお返しとばかりに、 「いつまでここにいるつもりなんだ」 「そんなこと私が決められる?家もお金も無いこと知ってるくせに」 今度は逆切れか。まあ、こういう状況だし、ここは大人の対応を見せるか。 「じゃあ、家賃が払えるようになるまでなら、置いてやってもいいけど」 「本当に!ありがとう」 満面の笑みを見て、してやられたと思った。 嬉しそうに2階へと上がっていく祐美。 こうして怒涛の1日が終わった。かのように思われたのだが、 もう部屋に入ったはずの祐美が、階段の上からこちらを覗き込んでいる。さっきの笑顔から一変した真面目な表情で、 「本当はお父さんだなんて思ってないから。おやすみ」 どういう意味だ??? 明日は初出勤だというのに、いくら飲んでも寝付けない。長い夜は続くのであった。
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