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「じゃあ、お風呂入ってくるね」
もう文句を言う気にもなれない。
「ああ、俺は一杯飲んでからにするよ」
「覗かないでよ」
「誰が覗くか。馬鹿」
しかし、「お父さん」とストレートに言われて、こんなにもダメージを受けるとは、正直驚いた。
酔いが少しまわってきた頃、祐美が風呂からあがってきた。そこで、先程のお返しとばかりに、
「いつまでここにいるつもりなんだ」
「そんなこと私が決められる?家もお金も無いこと知ってるくせに」
今度は逆切れか。まあ、こういう状況だし、ここは大人の対応を見せるか。
「じゃあ、家賃が払えるようになるまでなら、置いてやってもいいけど」
「本当に!ありがとう」
満面の笑みを見て、してやられたと思った。
嬉しそうに2階へと上がっていく祐美。
こうして怒涛の1日が終わった。かのように思われたのだが、
もう部屋に入ったはずの祐美が、階段の上からこちらを覗き込んでいる。さっきの笑顔から一変した真面目な表情で、
「本当はお父さんだなんて思ってないから。おやすみ」
どういう意味だ???
明日は初出勤だというのに、いくら飲んでも寝付けない。長い夜は続くのであった。
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