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俺、里中裕二は5年間働いていた店の社長と喧嘩別れして無職の状態、気に懸けてくれていたそこの女将さんの紹介で、古びた一軒家でひとり暮らしをしている。
昔は閑静な住宅街であっただろうが、今は空き家も目立つ少し寂しげなところである。そうはいっても都心までは1時間圏内、この立地で家賃5万台は破格といってもいいだろう。
事故物件なのか、幽霊でも出るのか、そう思わせる外観とは裏腹に、中はそれほど古くもなく、最近まで人が住んでいた気配が残っている。
住み慣れてきたことは良しとしても、このまま無職というわけにもいくまい。
昼間は職探しに奔走するが、この歳ではなかなかいい仕事は見つからない。苛立ちからなのか、何軒も喧嘩が原因で仕事を失ってきた自分に嫌気が差してきて、毎晩のように近所の居酒屋に入り浸っていた。
そんなある日、いつものように酔っぱらって家の前まで帰って来ると、信じられない光景を目にした。
玄関で人が倒れている。
一瞬で酔いが覚めてしまった。
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