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中を開けてみると、高級そうな包丁だった。
「いろいろ迷ったんだけど、やっぱり裕ちゃんにはこれかなっと思って」
「だけど、名前入りって、昔のテレビショッピングじゃあるまいし」
「お気に召さなくて!」
「いや、大事に使わせて頂きます」
思わず二人とも笑いが込み上げてくる。
「何か馬鹿みたいだね、私達」
「よし、飲み直そうか」
「今から?明日は仕事だよ」
それから、深夜まで二人だけの祝いの宴は続いた。それまでの事が嘘だったかのように。
結局そのまま二人とも眠ってしまったようだ。
「裕ちゃんさん、お姉ちゃん、遅刻するよ。じゃあ、行ってきます」
「今何時だ?」
「もう10時だよ」
「あいつわざと起こさなかったな!」
「それだけ怒ってるってことだよ」
「そんなことより、早くしないと本当に遅刻だぞ」
平穏な日が戻って来たのはいいが、ドタバタ劇はまだまだ続きそうだ。
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