第1章「偶然の出会い」

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翌朝少し遅めに目が覚めた。昨日の出来事は何だったんだろうか。夢か、幻覚か、現実か、すぐ答えは出た。現実だった。 「おはよう。おっちゃん」 「ああ、おはよう」 っておい、なんちゅう格好してんだ。 髪は濡れたまま、ぶかぶかのTシャツ1枚だけ、それも勝手に俺のを着てやがる。こいつには警戒心というものはないのか。それとも俺を挑発してやがるのか。 「シャワー借りたよ。ねえ、ドライヤーどこ?」 「それなら洗面台の奥に」 ってなんてマイペースなんだ。 「朝ごはんにしよう。顔洗ってきなよ。」 「おう、わかった。ってお前わざとやってるだろ。いいから着替えてこい。」 「はーい」 意外と素直に着替えに行った。 離婚してから10年、誰かと暮らすこともなく過ごしてきたせいか、久しくなかった新鮮な気持ちに浸っていた。 しかし、今はそういうことではなく、ちゃんと説明してもらわないと。
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