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これは新手の詐欺かもしれないと勘ぐってはみたが、少し涙ぐんでる姿を見ていると、少しは信じてみようかと思った。
喧嘩っぱやいが、お人好しなのが俺のキャラクターだからしょうがない。
とはいうものの、どうしたもんだろうか。
「切符代なら出してやるから、実家に帰りな。お母さんも心配してるだろう」
「絶対帰らないもん」
「そんなこと言ったってどうするんだよ」
「いざとなれば、女っていうことだけで働けるとこもあるし」
「おいおい、早まるな」
なんでこいつのことを心配しなきゃならんのだ。
そんな言い合いをしてる最中、携帯にメールが届いた。それは今日約束していた面接の確認メールだった。14時だと思っていたら、12時だった。もうそろそろ出ないとまずいな。
「あ、すまん。これから出掛けないと」
「話まだ終わってないのに、どこいくの?」
「面接の時間がもうすぐなんだ。なにしろ新しくオープンするレストランで、料理長探してるっていうんだ。なかなかいい話なんで、これで決めないと」
しまった。何をべらべらとしゃべってんだ。
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