ワンコイン侍

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ワンコイン侍

カタ 「ここが…」一人の娘が何やら怪しい雰囲気の店の前で立ちすくんでいた。店の怪しさをかもし出す看板にはこう書かれていた。 “どんなヤツでも一撃必殺!(人間、人以外、外星人、化け物etc…何でもOK??)一件五百オン也~” 《※1オン=約1.01円》 娘はこの店の事を中央通りの反物屋のあの女将から聞いた情報なのであまり期待はしていなかった。もしかすると、一応念の為に来てみたのだった。 娘が店ののれんは潜らずに、帰ろうと決心した時だった。「あぁ、オネーちゃんもしかしてお客さん?なら、中で話聞くよー♪」娘の背後から声がした。娘が振り返ると、店主らしき優男が博打から帰ってきた様子であった。左脇には景品が詰まった紙袋を抱え、上機嫌である。 「いえ、何でもないです。」娘は軽蔑した態度で店を後にしようと一歩目を踏み出したが、優男は速かった。娘が一歩目をつく前に、とてつもない早業で、娘を店内に引き込まれて、娘は男に話を聞かれるはめになったのだ。瞬く間に椅子に座らされて、状況を把握しきれていない娘に男はしゃべり始めた。     
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