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とても信じられないことだった。少なくとも私は、生前にこのようなものを見たことが無かったから。
「先輩。ここが私たちの目的の場所なのですか?」
そう、聞いたときであった。私の足下、月明かりの届かない暗闇の中から「お姉ちゃんたち……だれ?」と、声が聞こえた。
「……君は……いつの間に?」
子供であった。季節に合わない薄い布地の服を身に着けた、小さな女の子が、そこにいた。
ここは、マンションの4階。それにこのガラス窓は開いていない。
「君は……どこから来たの?」
普通ならあり得ない出来事と感じたのは、その事実から目を背けたかったのだろうか? この子はまだ生きていて……たまたま私を見れる存在である。と、それこそあり得ないことであるのに、ありもしない出来事を望んでいたのだろうか。
「そこのベッドの上で長い間空を見てたの。お母さんを待ってながら……ずっと。そしたらね、外から音が聞こえて、お姉ちゃん達が来たのが見えたの」
この子の指差す所には、ベッド何て無い。あるのは、つもり積もったゴミの山だけ。
「最初は動けなかったけど、行きたい行きたいと思ってたら、ここまで来たの」
「……」
かけるべき言葉が見つからない。この子は気づいてないから、その事の意味に。
「お兄ちゃんたち……魔法使いの人?」
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