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そして、寒河江も図師と同じく、やりかけのソフトを残したまま死ねないと言っていた。寒河江のソフトは、暗示をかける仕組みを追加されて、全世界に配布されている。それを、寒河江は回収したいという。
『……事件、止められなかったのか』
桜本の声が、ため息交じりに聞こえていた。死保からは、寒河江の決意により、帰還命令が出たようだ。
『……六六七、五六三……刺激は続けると麻痺する。緩急を忘れずに。それに尻ばかり責めないで、休ませて!』
瀬谷は点数が下がり、がっかりしながらも、懸命に続けていた。桜本のこれは、帰還命令が赤の点滅になるまで続くのかもしれない。
『……即席カップルのほうは、時間が経過すれば、暗示が溶けてゆきます。祭りのせいで、やってしまったと、そう深くは残らないでしょう』
これは、瀬谷の計算で、その計算には誤りがある。
「尻を始めて経験した方は、記憶にはしっかりと残りますよ。やったことが、ある、無いは大きな違いです」
入れた方は、そう記憶に残らないが、尻を経験したほうは忘れられないだろう。痛みはやがて薄れて、思い出せなくなっても、ここでしてしまったということは、初めての記憶に残される。
『……そうなの?計算に組み込んでおくよ』
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