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「今じゃないとダメなんだ」
夜中の午前2時にか?俺はぼーっとした頭で、しばらくの間考えた。
「……今着替えるからちょっと待ってろ」
昨日履いていたジーパンを引っつかみ、俺は眼鏡をかけると、だんだん頭がハッキリしてきた。こんな時間に何事だろう。何か事故でも起きたのだろうか。
「よかった、出てくれて」
俺が着替えを終えて玄関のドアを開けると、白い顔のAはどこか落ち着かない様子だった。
「こんな時間に、すまん。どうしたらいいかわからねえんだ」
「何かあったのか?」
玄関ドアの淵に寄りかかりながら尋ねても、Aは『ちょっと来て欲しいんだ』としか言わない。俺は玄関の鍵を取って、真夜中、ついていくことにした。
マンションの階段を下りて地上にたどり着くと、Aは裏手のひとけの少ない所へと歩いていく。果たして、そこにはAの車がとめてあって、Aは不安な表情で軽自動車のキーを開けてトランクを開ける。
社内のランプがついて、トランクの中が照らし出される。
死体があった。
「どうしたんだこれ」
まだ俺は寝ぼけているのだろうか。俺はAを見つめる。
「これ、会社の上司」
Aがトランクを一瞬で閉めた。
「何があったんだ」
「いろいろあって、殺した」
「そうか」
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