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しかしヴィムの予感は的中してしまった。
真夜中に父親のうめき声が聞こえたので見に行くと、身体中青あざだらけになって苦しんでいた。
母親が必死に父親を呼び、汗を拭いていた。
「ヴィム!お水を汲んできて!」
ヴィムは村の共同井戸へ行った。
「あれ?」
そこには慌てた様子で水を汲む青年がいた。
「ヴィム!もしかしてお前のとこの親もおかしくなったのか?」
「実はお父さんの身体に青あざが沢山できて苦しんでて……」
「やっぱりか……。うちのお袋もそうなんだよ。お前んとこの親父さんが知らない人の墓を作ったからって、花を供えに行ってたんだけどよ……。急いでるからまたな!お互い助かるといいな!」
青年は水桶を抱えて走り去った。
「やっぱりあの人病気だったんだ!きっと、遺体の近くに行っただけで伝染るような……。あ、あぁ……!」
ヴィムはそこまで言って気づいた。自分も感染している可能性が高いということに。
そして同時に思い浮かぶのは青の伝承。
ヴィムは水を汲んで持ち帰ると、また水を持ってくると嘘をついて祭壇へ向かった。
真っ暗な夜を走るのは怖かったが、それ以上に死ぬのが怖い。
祭壇に着くと、中が青白く光っていた。
祭壇の中に入ると、ガラス瓶に閉じ込められた青い液体がぼんやりと光を放っている。
「これだ、不老不死……。エルフの生き血!」
ヴィムはコルク栓を開けると、勢いよく飲み干した。
人間の血液独特の鉄臭さはなく、ハーブ水の様に爽やかな味がした。
全身が澄み渡るような、浄化していく様な感覚がした。
「すごいや……あっ!」
ヴィムはガラス瓶を落としてしまい、破片がヴィムの足に傷を作った。
そこから流れ出る血は、青白く光った。
「いったた……。でもこれでお父さんを助けられる!」
ヴィムは急いで帰ると、台所に直行した。
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