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もう一度、始めてみたかった。せっかく、どんな形であれ会えたのだから、もう一度ヒトの孫として歩みたい。でも村は燃やされて、もう戻れない。この集落ではヒトはいい顔をされない。どこへ行こう。どこへ行けるだろう。私と祖母が居られるところ。
「都会だ。」
私はトランクから買い出してきた品物を放り出す。そして、受け取った交通費の残額を確認した。まだ余裕がある。都会まではいかなくとも、中間の町までなら二人で移動できる。
「ごめんなさい…。」
右手にトランクを抱え、左手で祖母の手を握る。私たちはこっそりと新しく歩き始めた。
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