英雄の国絶対この手で滅ぼすマン

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パパが突然言った。 「ここは悪の者が住んでいてはダメな世界なんだ。」 そのころの僕には言っている意味がわからなかった。 「ここの国のルールでな、4歳までは異国の者を育てられるんだ。」 その日は僕の5歳の誕生日の一日前だった。 「今まで言わなかったけど、お前は悪者なんだ。」 「パパとママとサリは、この国‘英雄の国‘の住人なんだ。」 「理由はわからないが、お前だけ‘悪者の国‘の住人として生まれてきたんだ。」 「だから、ごめんな。」 そう言うと真っ白の服を着たパパは真っ黒の服を着ている僕の首に首輪をつけるとただ一言。 「歩け」 そう命令した。 そのときのパパはパパではなかった。 背筋が凍り、体が固まった。 「歩けっていってんでしょ」 後ろからママが冷たい視線を送りながらそう命令した。 「はやく歩けよー。耳聞こえてますか?」 リサお姉ちゃんが足を組みながら僕に命令した。 僕は怖くなって、玄関へと向かおとした。 だが、首がしまり苦しくなった。 「おっと、怖い怖い」 「はいはい、散歩でちゅね」 そういうとパパは僕を玄関へと連れて行った。 そして扉を開けると、たくさんの人がいた。 その中をパパと僕が歩く。 そのたくさんの人の目は鋭く、僕を刺した。 たくさんの人。 たくさん罵倒され、たくさん殴られ、蹴られた。 「おい」 そこにはテレビで見たことのある偉い人がいた。 「なにをしているんだ」 「あぁ。スダジャ様。今こいつへの調教を」 スパァン。 鋭い音が町に響き渡った。 「早く殺せ」 偉い人はパパを叩いたあとにそう言うとながいマントをなびかせ去っていった。 パパの目はもうなにもうつっていなかった。 ロボットみたいだった。 パパは僕をずるずるとひきずる。 「ねぇ!僕は死ぬの?いやだ!やめて!!」 僕は必死に抵抗した。 誰も反応してくれない。 僕だけが喋る能力をもっているようだった。 するとパパが止まった。そこには井戸があった。 僕を持ち上げパパは底の見えない井戸に僕を落とした。 手を伸ばしてもどんどんパパとの距離が開いていき、僕は意識がなくなっていった。
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