0人が本棚に入れています
本棚に追加
いつも真っ暗なこの国のさらに暗い夜中の時間。
俺はこの国と英雄の国へのたった一つ通じる扉の井戸へ来ていた。
懐かしい。
ここでじじいに拾われて、じじいに育てられ始めたんだっけか。
じじいはこの世の誰よりも優しかった。
どこのだれか知らねえ首輪つけたガキを拾ってくれたんだ。
だけど第一声はひどかったな。
「SMプレイか?わしはM専でのぉ」
だった。
その当時の俺にはわからなかったが、遺書で丁寧に説明してくれた。
そんな10歳でSMプレイという意味を知った俺は、井戸の底を見ていた。
なにも見えなかった。
こんなとこに4歳の男の子を落とすやつの神経ってどうなってるんだろうか。
でももう死んでしまったんだからわからない。
最初のコメントを投稿しよう!