普通の猫じゃなくなった猫

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「話があるんだ!」  早く話さなきゃ。猫でも心臓がなければ死んでしまうことはわかる。  メイがずっと泣いている。俺が心臓のことを話して、メイはしっかりと叔父の話を断った。  でも――。 「誰かが使えないから、誰かが代わりになっただけの話だから」  女は淡々とそう言う。これが俺に対する慰めなのかはわからない。  メイの代わりはジュンだった。 「オレオ。もう行こう」 「オレオ?」 「君の名前。今決めた」  女はこの場に似つかわしくない、明るい笑顔を浮かべる。 「一緒に旅とまでいかなくても、もうこの世界には居たくないでしょ?」  その言葉に俺は「そうだな」と返すほかなかった。
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