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 青臭い匂いが6畳の部屋に漂っていた。  隣のアパートからピアノが聞こえてくる。  ミミファソソファミレドドドレミミレレ……ベートヴェンの第9だ。  僕は恐るべき身体能力を備えていた。  ジャンプしてアパートのベランダに飛び移った。  真夏だ。酷暑だ。だからか窓は開いていた。  ガラリ、部屋の中に入る。 「やぁ、碧海。年末でもないのに第9かよ?」  僕はブルージーンズのベルトを外し、碧海にしゃぶってもらった。 「スゴい?ペニスが喜んでるよ?」  碧海は嫌らしく笑った。  顔面に大量にザーメンをぶっかけてやった。  シャワーで洗い落としタオルで顔を拭いてやった。 「ねぇ暇?」 「碧海は?」  碧海とは小学生の頃からの仲だ。  僕は学校に通えないでいた。  イジメなんかじゃない。とにかく疲れていた。  碧海はLAWSONでバイトしていた。  夜、あのブルーネオンに癒されたりする。 「暇だからピアノ弾いてるんじゃない?」 「バイトにでも行けば?」 「翔には言われたくないな?」  碧海はスマホの画面を見せた。 『《ブルーファンタジー》青いものを集めて賞金をゲットしよう!』  参加者の中で最もアイテムが多い人間が優勝だ。  期限は8月29日の午後6時までか?  賞金は10万円。いいじゃん!碧海と旅行でも行きたいな?集合場所は歌舞伎町にある『ポセイドン』って店だ。 「そのジーンズ頂戴?」  碧海は強引に僕のジーンズを奪った。  碧海1 「アァッ!どうやって帰れっていうんだ?」  碧海から真っ赤なスカートをもらった。  トランクスで街を歩くのとドッチが恥ずかしいだろう?トランクスが黒でよかった。  最近、腹に痛みがある。  昨日、近所にある市民病院で検査をした。  尿には異常がなかったが、明日また行かないといけない。桶川駅前のファミリーマートでポカリスエットの缶を3缶買った。暑いときにはやっぱりこれだよな?  翔3   だけど、貧乏学生だし?そんなに買ってばかりもいられない。西口のロータリーで、どうするかを真剣に考えた。  蝉がジリジリと鳴いている。熱中症になりそうだ。ポカリをゴクゴク飲んだ。  そうだ!空き缶!! だが、ポカリはナカナカ見つからなかった。駅ナカのベンチ周辺はたくさんあったがコーラやキリンレモンばかりだ。自販機のところにDAKARAが転がっていた。惜しいな!
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