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結果として、半分近くのカレーを胃の中に無理矢理押し込んだが、それ以上食べることはできなかった。
非常に口惜しいが、私は残ったカレーを泣く泣く廃棄することに決めた。
料理が失敗したときのショックは地味に大きい。
材料費や作るのにかかった時間が無駄になってしまったことを考えると、なんとも情けない気持ちになる。
たかだかカレーを作るのに失敗しただけで大げさかもしれないが、このカレーは一応は腹を満たしたものの、それ以上に大きなダメージを被ってしまったような気がした。
ビール二本は入れ過ぎだったんじゃないか? 水も入れるべきだったんじゃないか? そもそもビール必要だったのか?
様々な後悔が頭を行き来するが既に後の祭りである。
唯一幸いだったことは、このカレーを食べたのは自分だけだったことであろうか。
私は今は独り身だが、もしもこの先何も知らずに好奇心でこのカレー作って恋人や家族に食べさせたら……と考えると、想像するだけでも恐ろしい。
そう考えれば、今回の失敗にも十分意義はあったのだろう。
そう思わなければやってられない。
カレーは奇をてらって隠し味など使わなくても、普通に作れば十分美味しいのだ。
そのことを改めて痛感するのと同時に、残った五本のビールをどうするか、私は再び頭を抱えるのだった。
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