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一瞬にして消える暗闇。痛いほどの光が差し込み、目は反射的に細くなる。
「いつまで寝てるのよ、ジョン。早く起きて」
「……まぶっ……しいよ」
あまりにも光が強く、蛍光灯の白色に目が眩んだ。
でもジェーンは、そんな事お構いなしにぼくの肩を揺らす。
「いいから起きて」
眉間にしわを寄せて振りほどくも、彼女は執拗に迫る。
ぼくはまだ寝ていたいというのに、ワガママな女だ。
「ほら! もう時間だよ! 間に合わないよ!」
「えっ……ああ、わかったよ。起きるから」
彼女の“間に合わないよ”の言葉に、重要なことを思い出したぼくは、仕方なくも彼女の言葉に耳を傾けた。簡素なパイプベッドから体を落とし、眠い目をこする。
「早くしないと遅れるよ」
「わかってるって。それより電気消してよ。光が嫌いなのはキミも知ってるだろ?」
明かりの届かない洗面台へと身を隠すと、急いで歯を磨く。
「もちろん知ってるわよ。だから点けたんじゃない」
彼女は意地悪そうな笑みを浮かべ、明かりのスイッチに手を伸ばした。
なんて女だ……と呆れるも、ぼくは口をゆすぎながら苛立ちをかき消す。今はそんなことで揉めている場合ではない。一刻を争う状況だ。
支度を済ませたぼくは、すでに用意の済んでいる彼女と共に外へと繰り出した。
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