2. 羽をもつ者ともたない者

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 顔を赤くしたクンネはニソルの言葉に目を細めた。ぷいと顔をそむけ、手を離す。二人のやりとりを見ていたウナはそっとほほえみ、気を取り直したように声を上げた。 「ニソル、ここに来るときにクサイチゴがたくさんなっている場所を見つけたんだ。君にも分けてあげようと思って持ってきたよ」  ウナが袋を取り出し、ニソルの手のひらに赤く小さな果実を転がした。 「わあ、こんなにもたくさん、ありがとう!」 「どういたしまして。僕たちは今から長老に会いに行ってくるよ。調合した薬を渡さないといけないんだ。どうも最近暑さがひどくて参っているらしいから」 「俺も親父から長老に伝言がある。俺たちのすみかのあたりにある木々が、やっぱり暑さのせいか痩せ細っているんだ」  彼らの言う長老とは、森の奥に住むフクロウのことだ。ずいぶんと年寄りで物静かだが、森の賢者としてさまざまな種族の者から頼りにされている。  ニソルは二年前に長老のもとへ行ったときのことを思い出していた。彼はニソルが手に持つ植物をちらりと見やり、「マツヨイグサ」と静かに告げたのだ。
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