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「向こうにね、フェンスの網が切れている所があるの」
と、その子が指差した方は暗くて見えなかった。
「でもすごいね。こんな真っ暗な水に迷わず飛び込むなんて。怖くないの?」
「もう暑くて。じいちゃんち泊まってるんだけど部屋にエアコンがないんだ。扇風機回しても熱風で眠れないから散歩に出たら、小学校にプールあったの思い出して。俺、昔ここの生徒だったんだよ」
「卒業生?」
「いや、卒業してない。じいちゃんちに住んでいた時入学して、一年しか通わなかったんだ。親の仕事の都合で引っ越したから」
「ふぅん。私もここの生徒だったんだよ」
「へぇ。何歳?」
「今年十八歳」
「えっ高三?タメじゃん。もっと小さい…いや、若いと思ったわ」
「いいよ、言い直さなくて。どうせチビで童顔ですよー」
年下だと思ったのは見た目以外でも澄んだ高い声と、少し甘えたような話し方のせいもあると思った。
近くで良く見ると黒目勝ちの大きな目は丸く、小さな鼻はツンと先がとがっていて可愛いと思った。
将来美人さんになりそうな美少女。
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