月明かりの下 出会った君は

5/20
前へ
/20ページ
次へ
「まさかの同級生?クラスは…覚えてないや。俺すぐ引っ越しちゃったし、きっと名前言ってもわかんないよな」 「名前教えて?」 「泉。泉恭一郎」 「恭一郎…」 「うん。知らないでしょ?」 「うん。恭一郎って長いね。キョンって呼ぶわ」 「ぶはっ キョン?キョンかぁ。そういえば昔キョンって呼ばれてたわ。今思い出した。 そっちは?何て呼べばいい?」 「かほ」 「かほね、わかった。かほもこの近くに住んでんの?」 「うん。向こうの方」 と指差したのはじいちゃんちの反対方向だった。 「キョンはどこに住んでるの?」 「住んでるのは東京。去年ばあちゃんが亡くなって、今年新盆だから法事があるんだけど、その前に両親が結婚二十周年の旅行に行くからって、俺だけ留守番でさ。ハワイだぜ?一緒に行きたいって言ったのに、受験生だろって置いて行かれたんだよ。ひでぇ話だよ」 「ご両親、仲いいんだね」 「気持ち悪い程な」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加