月明かりの下 出会った君は

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かほは笑うと 「ねぇ、泳ぐのって気持ちいい?」 と聞いた。 「うん。昔スイミングやっててさ。たまに無性に泳ぎたくなるんだよな」 「じゃあ泳いで見せてよ」 「いいよ。何泳ぎがいい?」 女の子にかっこいい所を見せられる、数少ないチャンスだと思って張り切ってしまう僕。 「一番かっこいいのは何泳ぎ?」 「そりゃクロールだろうな。タイム的にも速いし」 「じゃあそれ」 「よっしゃ、見てろよ。バタ足うるさいから静かに泳ぐよ。タイムは関係なし」 「うん。よーいスタート!!」 「えっいきなり?おふっ」 変な返事をしてから慌てて泳ぎ始めた。 身長が伸びたお蔭か二十五メートルプールは小さく感じて、あっという間に反対側の壁に着いた。すぐにターンすると急に体が重く感じる。 あれ?と思いながらも元の場所まで戻ると、びっくりするぐらい息が上がっていた。 「あれ?キョンなんかへばってない?」 「へ、へばってねーよ、こ、これくらいで」 そう言えば高校では部活もやらず、運動は体育の授業だけ。 体力なんて有り余るほどあると思っていたのに、どうした俺の体。
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