4人が本棚に入れています
本棚に追加
かほは笑うと
「ねぇ、泳ぐのって気持ちいい?」
と聞いた。
「うん。昔スイミングやっててさ。たまに無性に泳ぎたくなるんだよな」
「じゃあ泳いで見せてよ」
「いいよ。何泳ぎがいい?」
女の子にかっこいい所を見せられる、数少ないチャンスだと思って張り切ってしまう僕。
「一番かっこいいのは何泳ぎ?」
「そりゃクロールだろうな。タイム的にも速いし」
「じゃあそれ」
「よっしゃ、見てろよ。バタ足うるさいから静かに泳ぐよ。タイムは関係なし」
「うん。よーいスタート!!」
「えっいきなり?おふっ」
変な返事をしてから慌てて泳ぎ始めた。
身長が伸びたお蔭か二十五メートルプールは小さく感じて、あっという間に反対側の壁に着いた。すぐにターンすると急に体が重く感じる。
あれ?と思いながらも元の場所まで戻ると、びっくりするぐらい息が上がっていた。
「あれ?キョンなんかへばってない?」
「へ、へばってねーよ、こ、これくらいで」
そう言えば高校では部活もやらず、運動は体育の授業だけ。
体力なんて有り余るほどあると思っていたのに、どうした俺の体。
最初のコメントを投稿しよう!