4人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日、昨日と同じ深夜一時。
僕は膝丈の水着の上にTシャツを着て、肩にタオルを掛けて小学校のプールのフェンスをよじ登った。
プールに近付くと、反対側から声が聞こえた。
「キョン!」
見るとかほが手を振っている。
「よっ」
「今日は準備万端?」
「ばっちり。かほもちゃんとタオル持って来た?」
「だから私は泳がないってば」
「気持ちいいのに。本当は泳げないとか?」
「そんなことないもん!泳げるもん!」
「じゃあ競争しようぜ。向こうまででいいから」
「それは無理。キョンに勝てるわけないし」
「大丈夫。手加減してやるからさ」
「まじでいいから。今日は何を見せてくれるの?」
「え、そういうシステム?じゃあ今日は平泳ぎでいくか。あ、ゴーゴルも持って来たんだ。昔のだからちょっとキツいけど、ないよりましだから」
僕は首に掛けていた水色のゴーグルを装着して見せた。
昼間じいちゃんちのおもちゃ箱の中から発掘したものだ。
「やっぱり水の中で目を開けるの怖いよね」
「怖いより痛いかな。塩素が目によくないから、プール上がったら目を洗うって学校で習っただろ?」
「そんなのもう忘れちゃったよ。さ、早く見せて」
最初のコメントを投稿しよう!